暮らしの概要

写真3 ウグイの給餌‥‥阿寒町のタンチョウ観察センター
まず、一年の暮らしの大筋を掴んでおきましょう。
タンチョウは、冬のあいだ北海道東部(道東)の釧路地方で、人里近くに群れを作り、ヒトの与えるトウモロコシなどに頼って暮らします(写真3)。春になると、夫婦は前の年生まれの子と別れ、道東に広がる湿原へ三々五々と移り、広いなわばりを構えます。
繁殖地は、今のところ道東の十勝、釧路、根室、網走の4地方と北方四島だけです。そこで春から夏にかけて子育てをして、秋にはなわばりを離れ、再び子連れで人里へ集まります。
繁殖に加わらない若いツルも、夏は道東の湿原へ広く散ります。ときには小さな群れを作り、番いのなわばりの隙間を縫いながら暮らし、秋にまた越冬地へ戻ってきます。
つまり、冬は比較的狭いところで群れ(協調的)生活を、夏は湿地へ広く分散してなわばり(排他的)生活を、毎年繰り返します。